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価値が増大するネットワーク作り

皆さん、携帯電話を使われていますか?来日した外国人はまず空港で不思議な光景を目にします。それは携帯電話を使う日本人の姿です。携帯電話を手に持ち、小さな画面を見ながら何やら一心不乱にボタンを押しています。電話をするわけでもなく、外国人には何とも不可解な姿に映るようです。

もちろん電子メールの送受信をしているのですが、通話機能しかなかった携帯電話にiモードが登場したのが1999年です。携帯電話の利便性が高まり、携帯電話を使う人が増えます。携帯電話を使う人が増えることで、携帯電話ビジネスに参入する企業が増え、着メロやクーポン券など新しいサービスが始まります。またそのサービス目当てに新しい携帯電話ユーザが増えます。

言いかえるとネットワークの価値が増大することにより、ネットワークを使う利用者が増え、利用者が増えることにより、また価値が増大するスパイラル(螺旋)になるということです。

「旅の窓口」の成功

日立造船コンピュータ株式会社が新規ビジネスとして「ホテルの窓口」を1996年にスタートしました。インターネットでビジネスホテルの宿泊予約ができるシステムでしたが当初はインターネット黎明期で苦戦しました。

雑誌のような広告宣伝費がいらない等、ホテル側にもメリットがあることを根気よく訴え続け、ホテル側が割引料金で宿泊費を呈示するようになりました。ビジネスマンの間にネットで安く泊まれるという口コミが拡がります。ビジネスマンの利用が増えると、参加するホテルも増えていきます。安く宿泊できるホテルが増えると「ホテルの窓口」を利用するビジネスマンが増えます。

利用者が増え、価値が増大することにより「ホテルの窓口」は旅行業界に大きな影響を与える存在となりました。さらにホテルの予約から事業領域を広くし、航空券等の切符手配など旅をキーワードにしたサービスも開始し、サイト名も「ホテルの窓口」から「旅の窓口」へと変更になりました。2004年5月には会員数が360万人を超えています。昨年、楽天が323億円で買収し、楽天トラベル株式会社という社名になっています。

個人がネットワークの価値を高めるには

「旅の窓口」のような中堅企業の経営戦略という側面だけでなく個人でもネットワークの価値を高めることは大切です。昔はこのネットワークを構築することが大変でした。人脈を作るには非人と会ったり、手紙を出したり、電話をかけたりと手間暇をかける必要がありました。

インターネット時代となり電子メールという通信手段が出現し、構築が簡単に出来るようになっています。Yahoo!が行っているYahoo!グループやFreeML等の無料でメーリングリストを作成するサービスが始まり、電子メールアドレスさえあれば簡単に構築することができます。

ただし、筆まめでないと人脈の維持が難しいのは昔も今も変わりません。メーリングリストを作って、メンバーを登録しただけでは駄目です。

自分が主催しているメーリングリストであれば誰かが投稿したら、きちんと返事をする、誰かが質問すれば、答えたり、自分で分からなければ分かりそうな人に問いかけるなど、ネットワークを活性化する管理をしていく必要があります。最初は物珍しさもあって書き込みがありますが、ほうっておくと誰も使わなくなるネットワークになってしまいます。

「あのネットで質問すると的確な答えが返ってくる」「色々な情報が流れていて情報収集に役立つ」等、参加者がメリットを認識するようになるとコミュニティに参加する人が口コミで増えてきます。つまりネットワークの価値が上がることになります。

こうなればナレッジマネージメントを構築したのと同じです。3人寄れば文殊の智恵ではありませんが、質問すればすぐに答えが返ってくる、また相談ができるネットワークを持つことは個人にとって大きな強みになります。

メールを返す社員は少ない

同じ事は中小企業でも言えます。経営資源が少ない中小企業では、皆が知恵を出し合って課題を解決していかなければなりません。そのために有効なネットワークがグループウェアです。社内の縦割りを極力排除して、皆が知恵を出し合えるようなネットワークにしていく必要があります。

そのためにはネットワークの価値について経営者が理解することが重要です。また、グループウェアの面倒を見てくれる、ネットワークを活性化できるような社員を見つけることも重要です。実はこれが一番のネックです。試しに社員にメールを出してみてください。最初は返事が返ってきますが、何回も同じようなメールを出していると段々と返事が返ってこなくなります。毎回、的確に返事を返してくるような社員がいれば、その人物こそキーマンです。ぜひグループウェアの運用をまかせ、会社のネットワークの価値を高めてください。

皆が便利だと実感できるようなグループウェアになれば、ネットワークの価値が上がり、社内の利用比率があがります。価値が増大するスパイラル(螺旋)になれば会社の大きな強みとなっていきます。


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