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ITで地域は元気になる

ステップサーバ 日本”元気印”増産プロジェクトで2009年7月〜2010年3月に連載していたコラム記事です。


ITで地域は元気になる! No3創意工夫を凝らし地域でがんばる


NHK土曜ドラマ「再生の町」。
副題は「ふるさとが破綻する時、私たちは何を守るのか」。

夕張市など各地で問題になっているのが「財政破綻」。ドラマでは財政破綻寸前の「大阪府なみはや市」再建に取り組む公務員や市民たちの奮闘を描いています。職員の給与を下げるだけではたりません。ゴミ収集を有料にし、保育園の料金を値上げ、公立病院の閉鎖など行政サービスを下げ、市民に痛みを与えざるをえません。

「財政破綻」は炭鉱閉鎖など産業構造の変化に対応できなかった地方都市の話かと思っていたら、大阪府・泉佐野市が早期健全化団体になることが確定。関西空港開港で税収が大幅に増えると皮算用。宅地造成や市立病院の建て替えなどを行いましたが企業誘致などが進まず、先行投資の借金が重くのしかかってきました。NHKが泉佐野市をモデルにしたとは思いませんが、ドラマと同様の事態になっています。

財政破綻予備軍をみると確かに地方都市が多いのですが三大都市圏の都市も予備軍に入っています。いずれの都市も改革が必要ですが、小さな都市の方が有利かもしれません。大きな都市になればなるほど大企業と同じで利害関係者が多く、改革を進めるのも一筋縄でいきません。小さな都市ほど小回りが利き、決断の速さを武器に改革していくことができます。もちろん状況を正確に把握し、目標を定めてリーダーシップを発揮できる人物がかかせません。

今回のコラムではわずか500人しか村民がいないのに、創意工夫を凝らし地域でがんばっている和歌山県北山村をご紹介しましょう。役場職員が24人という小さな村です。

「じゃばら」ってご存知ですか?

じゃばら

「じゃばら」とは北山村という村だけにしかない柑橘類。ユズやダイダイ、カボスの仲間で独特の香りと苦みが特徴です。邪気を払う縁起物「邪払(じゃばら)」として北山村では正月料理に用いられていました。

昔から村に自生していて、調査すると世界にない全く新しい品種であることが判明。北山村を過疎から守る産業として村をあげて「じゃばら」栽培に取り組みました。しかし、知名度の低さや販路の狭さなどから、低迷が続きます。今から10年前(1999年)、じゃばら関連商品の年間売上は2,700万円でした。

■北山村はどこにある?

北山村は和歌山県なのに県内のどの市町村とも隣接していません。全国でもたった一つしかない飛び地の村です。三重県と奈良県に囲まれていて地理的には完全に奈良県です。村の97%を山林が占め、昔は林業が盛んな土地でした。伐採した木材を筏(いかだ)に組んで、川を利用して木材集積地だった新宮まで運んでいました。

北山村へ行くには、大阪から特急オーシャンアローに4時間揺られて、まず新宮駅に。新宮で特急南紀に乗り換え三重県熊野市に向かいます。ここからバスに乗り換えて1時間走ると北山村に着きます。北山村の人口は約500人です。地下鉄・御堂筋線の定員は1車両140名ですので、1編成(10両)も必要なく4両あれば村民全てを運ぶことができる人口です。

「じゃばら」を楽天市場で売り出す

北山村

「じゃばら」で地域おこしをしようと村内の販売や近隣の土産物店への卸販売を行っていましたが、交通の便が悪いところですので販売は伸びません。2001年、自治体で初めて楽天市場に出店しました。しばらくすると花粉症のお客さんから「じゃばらが花粉症に効く」という声が届きだします。複数のお客さんからの声を耳にした時に北山村役場が行ったのが花粉症への効果アンケート調査です。こういうセンスが重要ですね。

花粉症1000人のモニターを募って、果汁を試飲。半数の人から花粉症に効果ありと返ってきました。結果をまとめて発表。これが口コミで広がり、マスコミが目をつけ「おもいっきりテレビ」や雑誌などで次々と紹介され、爆発的に売れ初めます。 2001年、じゃばら関連商品の年間売上は5,000万円でしたが、翌年の2002年には倍の1億円を超えます。商品が品切れとなり、現地ならまだあるだろうと、北山村まで足を延ばす人が出る状況。辺境の村「北山村」に観光客が出現しました。

村ブロを開始

楽天市場以外にも直販サイトを立ち上げましたが、次に行ったのがブログポータルサイトの立ち上げです。2007年3月、熊野古道などの観光情報を全国に発信するためにブログポータルサイト「北山ブログ」を開始しました。この北山村って職員がわずか24人しかいない役場ですが、次々にアイデアを生み出すのがうまい村ですね。

北山村の周辺人口は約20万人。そんな狭いエリアでブログポータルが成功するのかと言われましたが、狭いエリアであるからこそ地域のうまい店の情報があれば、食べに行こうという人が出てくる。コミュニティの活性化には手ごろなエリアという判断です。

ブログと言ってもやったことがない人には敷居が高いもの。まして人口が少なくブログをやっている人が珍しい地域です。そこで始めたのが無料ブログ教室。北山村だけでなく、和歌山県の新宮市、田辺市、三重県熊野市など周辺地域でも行い、まず地元の人に情報発信してもらうことにしました。

2007年6月には機能を付け加え、「村ぶろ」としてオープン。「村ぶろ」の村人は約8,400人、書き込まれた記事が約9万件。北山村人口は約500人ですが、約17倍のバーチャル村民が生まれたことになります。これは北山村にとって強力な応援団です。

自治体が始めるサイトと言えば、観光情報を一方的に発信するホームページになりがちですが、「村ブロ」で紀州熊野のファンを開拓し、結果的に「じゃばら」をはじめとする地域産品の販売促進につながっています。

北山村のマネはできるか

他の地域で北山村のマネはできるのでしょうか。

単に地域ブログポータルサイトを作っても活性化せず消えていくだけです。実際、「村ぶろ」を参考にして作ったシステムがありますが、うまくいっていません。立ちあげるだけでなく活性化するためのイベントなどソフト面の仕掛けが重要で、このアイデアをいかに出すかが勝負になります。お客さんの声に耳を傾け、どういうサービスをしたら喜ばれるかファンになってもらえるか考え続けなければなりません。

知名度が高い北山村ですが決して恵まれた村ではありません。45年前、1,200人を超えていた人口が今や半減。財政状況も厳しい村です。「じゃばら」製品の製造、販売また筏下りをはじめとする観光で飯が食えるようになれば村にとどまってくれる人が増えます。

手をこまねいていては限界集落になるだけで、やがて地図からも消えてしまいます。そうならないようあの手この手を繰り出し、村を活性化しようと創意工夫を凝らしているからこそ、バーチャル村民が約8,400人も生まれる「村ぶろ」が生まれます。

No2地域コンテンツを地域外へ流通させる | No4地域活性化のカギは外へ出ること
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