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ITで地域は元気になる

ステップサーバ 日本”元気印”増産プロジェクトで2009年7月〜2010年3月に連載していたコラム記事です。


ITで地域は元気になる! No8売らないことでお客さんをリピーターに


野菜販売

田舎の道を走っていると道の駅や農産物直売場の看板をみかけます。店にはいると地元の新鮮野菜がずらっとならび、棚には生産者の笑った顔写真がはってあります。タイミングがよいと商品を並べている生産者と出会え、どうやって野菜を作ったかウンチクを語ってくれます。

バックヤードにはパソコンPOSシステムがあり、壁にバーコードの作り方という紙がはってあります。難しい操作はいらず、生産者はまず持ちこんだ野菜を袋詰めにし、POSシステムに自分の生産者番号をいれます。次に品目を選び、金額をいれ枚数を指定してバーコードラベルを印刷。バーコードラベルの裏側にノリがついており、そのまま野菜に貼ります。これで生産者ごと、品目ごとに売上管理ができます。

大きな農産物直売所では商品点数が多いので、こういったPOS管理がかかせません。売上状況は携帯電話にメール送信され、生産者は「今日はよく売れているからもう一回野菜を持ちこまないと売り切れてしまうな」と在庫状況までわかります。

生産者が儲かる値段をつけられる場を提供

難しいのが値付けです。農協へだす価格と一緒にしていては直売場にだす意味がありません。なかには安い値付けを奨励する直売場もありますが、これでは価格で集客しているだけで生産者のためになりません。

消費者の多くはスーパーにならんでいる外国産の野菜より、地元の安全な野菜と考えています。値段はスーパーより高くてもかまいませんが、減農薬で手間ひまかけて生産しているなど高い理由を消費者に伝えなければなりません。

重要なことは生産者がきちんと儲かる価格で商品をだし、また価格決定権を自分がもつことです。同じ商品を出している生産者がいるなら、相手より高く多く売るには、どう差別化すればよいか競争します。競争することではじめて生産者のマーケティング力が向上します。直売場の運営者は生産者に経営能力を磨ける場を提供することで地域の活性化につなげるという発想が必要です。

直売場の価値は地産地消

「四里四方に病なし」という言葉があります。体によい食べ物は、自分が生まれた土地の四里四方にある旬の食材で、四里四方の食材を食べていたら病気にならないと昔から言われています。

食材の輸送距離をあらわすフード・マイレージという言葉がありますが、日本は食糧自給率が低いため地球の裏側から運んでくる食材もあり長くなります。輸送距離が長ければ長いほど輸送に時間がかかるため食材の賞味期限をなんらかの方法でのばさなければなりません。どうしても食品添加物などが使われることになります。

近くで地のモノが手にはいるのであればフード・マイレージは16km以内におさまり、まさに「四里四方に病なし」です。道の駅や農産物直売場がまず狙うのは、地元のお客さんです。

ただし人口減となるため、地元のお客は年々減っていきます。地元以外から来てくれるお客も狙わなければなりませんが一朝一夕ではいきません。「道の駅 奥伊勢おおだい」の戦略をみていきましょう。

道の駅の横に高速道路ができる

高速にはサービスエリアがあり24時間、トイレや休憩所を利用できドライバーがほっと一息つけるオアシスになっていますが一般道にはドライブインしかありませんでした。そこでできたのが道の駅。現在では900以上あります。

道の駅大台

三重県の松阪から尾鷲、熊野へ向かう途中の大台町に「道の駅 奥伊勢おおだい」があります。大台町は山間の町で国道42号線が走り、奥伊勢おおだいは42号線沿いにあります。道の駅の多くでは食堂などをテナントにしていますが、奥伊勢おおだいではすべての部門を直営で経営しています。

松阪から大台町に入ると山の色が緑から濃い緑色に変わります。雨がよく降り、木が育つからです。特に尾鷲は年間降水量が屋久島についで日本2位というほど雨が降ります。大雨になると峠が多い国道42号線が閉鎖され、物流が完全にストップしてしまいます。2004年、大雨でJR紀勢線の鉄橋が流され、多くの車が水につかりガソリンスタンドの屋根に住民が避難している写真が全国に報道されました。

国道42号線が土砂崩れなどで使えなくなりましたので、孤立した集落へは道路沿いにある熊野古道を使って物資が運ばれました。江戸時代さながら人が荷物を背負って石畳の峠を越えて運びます。地元では世界遺産・熊野古道は今も生活道路です。

そんな地域ですので国道42号線以外に走れる道が悲願でした。高速道路・紀勢自動車道が計画され、熊野をめざして延伸しています。

奥伊勢おおだいは尾鷲、熊野へむかう中間地点にありローケーションがよく、たくさんの観光バスが立ち寄っていました。トイレ休憩で止まった観光バスから大勢の観光客が降り、地元の椎茸や新鮮な野菜を買ってくれました。そんな奥伊勢おおだいの横を高速道路が延伸し、道の駅を超えた先にインターチェンジができました。今まで来てくれた観光バスは立ち寄ってくれません。

素通り現象の前に新たなお客さんをみつける手をうつ

高速道路ができると素通り現象が発生することは分かっていましたので、以前から手をうっていました。まずは観光バス以外の観光客をあらたなお客にしました。

店の内部を改装。商品点数を増やすのではなく棚の間の幅を確保するためです。幅を1m10cmに拡げました。これは車いすが通れる幅です。観光バスは少なくなりましたが、そのかわりに増えたのが介護ツアーのバス。車イスで買物ができ食事もできる数少ない施設ということで重宝されています。介護ツアー以外にも奥伊勢おおだいにはスタンプを集めている道の駅マニアや、清流・宮川などを訪れる人が寄ってくれます。

■売らないことでリピーターを増やす

奥伊勢おおだいが従業員に徹底しているのが「売らない」こと。売場でお客さんに声をかけるのは小売の世界では当たり前ですが、奥伊勢おおだいではやっていません。その日の売上を上げようと商品を無理に売ってしまうと、二度とお客さんが来てくれないからです。

奥伊勢おおだいを訪れた人に気にいってもらい、またリピーターで訪れてくれることを狙っています。ホームページにはネットショップと名づけたページを用意していますが、買物カゴもなくメール注文で椎茸などを販売しています。ですが気に入ってくれたお客さんは買ってくれます。

商品はすすめませんが「今の時間帯なら四日市で混むかもしれません、お気をつけてお帰りください。」などと従業員はお客さんに一声かけています。何気ないお客さんとの交流がリピーター作りの大切な要素です。

日曜の朝8時からは朝市を行い、甘酒などのふるまいを行って朝市に参加している地元の生産者と観光客の交流の場を作っています。お客さまを喜ばせる視点で年に何回もイベントを行い。今では誰もが楽しめる道の駅として評価をえています。

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