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ITで地域は元気になる

ステップサーバ 日本”元気印”増産プロジェクトで2009年7月〜2010年3月に連載していたコラム記事です。


ITで地域は元気になる! No1地域の情報が欲しいのは地域の人


(アントニオ猪木風に)元気ですかー!!元気があれば何でもできる!皆さんのビジネスを元気に盛り上げていきましょう。

コラム「ITで地域は元気になる!」を担当する水谷哲也です。よろしくお願いします。

簡単に自己紹介させていただくと大阪、三重を中心に経営やITのコンサルティングをしております。なんで三重かと言えば、日本一短い地名の「津」市の生まれで、ひょんなご縁から、三重県の中小企業を支援するお仕事をさせていただいています。

窓口相談以外に企業へ出向いて相談をしています。南北に長い三重ですので、世界遺産「熊野古道」のある尾鷲市や熊野市まで行くと、相談時間よりも往復の移動時間が長くなってしまいます。からも遠いのですが、飛行機などを含めて計算すると、東京から"時間的な距離"が一番遠いのが、この尾鷲市や熊野市あたりになります。

典型的な地方都市ですが、海産物が豊富で、スーパーに入ると鮮魚売場には見たことがない魚が並んでいます。はじめて「マンボウ」が並んでいるのを見た時は、「水族館で見る、あのマンボウが!」とびっくりしました。こういった地域でも、地域の特色を生かしてITをしっかり活用しています。地域をキーワードにしたIT活用事例をコラムでご紹介していきます。

地元の情報を検索エンジンで探す時代

自転車

タウンページのコマーシャルを見ていると石原良純さんが突然あらわれて家に上がりこみ、トラブルを解決していきます。解決といっても、タウンページを調べて、事業者を呼ぶだけのお手軽解決です。このタウンページ、近所のお店を探す時、とても重宝しましたが、最近は検索エンジンで地元のお店を調べています。

引越したばかりの頃、駅から家まで帰る途中で、自転車がパンクしてしまいました。夜遅かったので、そのまま家に帰り、修理できる自転車さんを探そうと、検索エンジンで「地名 自転車修理」と入力し、検索してみました。

検索結果を見ると、さすがにホームページを立ち上げている自転車屋さんはありませんでした。従業員もいなく、一人でやっている自転車屋さんが多いので当然でしょう。ただ一覧で自転車屋さんを紹介しているサイトがいくつかあり、入力した地名にひっかかって出てきました。

サイトには屋号、住所、電話番号の3点が掲載された自転車屋さんの一覧が出ています。一覧の屋号の中にリンク先があるのがあり、クリックすると店の概観、店主の写真、キャッチコピー、営業日(休業日)、営業時間、店までの地図が掲載されていました。

ここまで情報をキッチリ出している自転車屋さんはまれで、ほとんどは屋号、住所、電話番号の3点だけ。結局、家の近くに自転車屋さんが3店舗ありましたが、一番近いお店ではなく、情報をキッチリ出していたお店にパンクを直しに行きました。ところが帰りがけ、もっと近くにサイトに載っていない自転車屋さんを発見。きちんと情報を掲載していない自転車さんにとっては、新規顧客を逃した、つまり機会損失になってしまいました。

地域の情報は地域で探す

お客さんがタウンページで探す時代から検索エンジンで探す時代に変化しているので、商売している側も変化しないといけないのですが、これがなかなか難しい。パンク修理をお願いした自転車屋さんに「ネットでお店を探し出しました」と伝えると、「最近、そういうお客さんが増えていて、そこで月額料金がかかるが広告代わりにサイトに情報を登録している」とのことでした。ただしメンテナンスはせず最初に載せたままだそうです。

転居は都会だけではなく、地方都市でも増えています。特に郊外の住宅に住んでいた住人が子供の独立にあわせて、生活に便利な駅前マンションに転居する動きが出ています。また高齢者も同様で、公共交通機関の少ない郊外よりも駅前という動きが出ています。そして、転居したばかりでは近所にどんなお店があるか分かりませんので、検索エンジンを使ってお店を探します。

今までの商売のやり方では、お店を知ってもらうために有効なのが地元の折り込み広告、タウン誌、タウンページでの情報発信が必要でした。これから重要なのはホームページを使った情報発信を行い、地域のマーケットを狙うことが重要です。地域で長年にわたって営業しているお店でも、引越ししたばかりの人には分かりませんし、既存の住民の中にも知らない人がたくさんいます。

実店舗があり、地域向けに商売していましたが、さらに全国の商圏を狙ってネットショップを立ち上げると、東京や名古屋など都市圏のお客さんがまず買ってくれますが、そのうち地元のお客さんがホームページに載っていた地図を片手に来店することがよくあります。地元にお店があることに気がついていなかったお客さんで、店にとっては今まで逃がしていた地域のお客さんです。

意外なお客さんからの注文が入る

キャリオン

伊勢神宮のおひざ元である伊勢市にレストラン・配達弁当の会社「キャリオン」があります。ここは同じ幼稚園に通う園児のお母さんが、1つ弁当を作るのなら、1つも4つも同じと、共同でお弁当作りを始めたのがきっかけの会社です。

我が子に食べさせても安心なように食の安全にこだわり、地産地消で弁当を作っています。ホームページを作っていますが、目的は検索エンジンで「伊勢 弁当」で検索されると上位表示され、弁当注文に結びつけることです。遠隔地へ弁当をクール便で運ぶようなことはやっていませんし、ニーズもありませんので、地域から地域へのビジネスを狙ってサイトを立ち上げました。

ところが面白いことに、食のこだわりや食への想いなどを情報発信していると、伊勢に試合で訪れるサッカーチームや伊勢神宮にバスでお参りする団体、伊勢に取材に来るテレビ・クルーなど地域外の人からお弁当注文のメールが入るようになりました。地域から地域への情報発信と思っていたのが、気がつけば地域から全国への情報発信になっていて、自分たちも気がつかなかった新しいニーズに対応することになっていました。

いかがでしたか、ウチには全国販売するようなモノはないからホームページなんて、いらないと考えず、まずは地域のお客さんに向けて情報発信してみませんか、意外なニーズがみつかるかもしれません。

No2地域コンテンツを地域外へ流通させる →
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